ブリコラージュという語を聞いたことがありますか?
この言葉は構造主義を唱えたレヴィ=ストロースが「野生の思考」の中で語りました。

聞いたことないよ。
新しく言葉を知ることは、自分の中で考えられる材料を増やすことになります。
>>哲学用語を知るメリットとは
それでは、ブリコラージュをみていきます。
ブリコラージュとは
ブリコラージュとは、時間と資源が限られた中、その場の興味で切り抜けることをいいます。(哲学用語事典 小川仁志)
20世紀フランスの文化人類学者レヴィ=ストロースが使った言葉で、「器用仕事」などと訳されます。
元はフランス語のbricoler「繕う」「ごまかす」に由来します。
では、具体例をみて説明していきます。
ブリコラージュを使った具体例

お腹空いたー。

冷蔵庫の中身は卵とひき肉と人参しかない。

思いついた!それでチャーハンを作るね。
このように、お腹が空いたから早く作りたいという時間的制限。
冷蔵庫の中身しか利用できないという資源の制限。
この制限された中で、その人にあったものを作りあげることです。
他の例をあげます。

家を作りたいな!

業者に頼むの?それとも、自分で作るの?

私が作るのはこの場にあるわらを使った、わらのお家。
ここでは、業者に頼むという選択肢と自分で作るという選択肢がでてきました。
レヴィ=ストロースの考えからみていくと、
わらで作る=未開人による野生の思考 具体的で感性的→ブリコラージュ
このような対比ができ、わらで即興で作ることをブリコラージュといいます。
目の前にあるあり合わせの材料で、何かを作り上げます。
その作り上げたものは、限られた材料の中で組み合わされて出来上がります。
抽象的で理性的に組み立てるのではなく、具体的で感性的です。
ブリコラージュは神話にもみられる
ブリコラージュを使った例として、レヴィ=ストロースは神話的な思考も述べました。
「科学を知らない人たちの科学」と呼んでいます。
科学技術が発達してきたのは近代になってからで、世界は私たちが論理的に理解できるものではありませんでした。
論理的に説明はできないけれど、近親婚は禁止しているし、何かしらの文化や法則があります。
それを劣ったものと見るのではなく、その文化の中でその決まりを作ることによって、その人々は快適に暮らすことができます。

昔は、近親婚だと民族が途絶える危険性があったよね。

そうそう、少ない民族の中でうまく生活していくために、近親婚禁止の規則を立てたところが多いんじゃないかな。

科学的な近親婚のデメリットを知っていたわけじゃないのに、規則ができていたんだね。

必要なときに必要な規則をたてる。
変化をさせるわけではなく、今を継続させるにはどうしたらいいかを考えたってわけだ。
必要な時に必要な規則。
あり合わせの物をそのまま利用するという考え方。
これらは、常に変化を求めて行動する思考を批判します。
科学技術の発展で核ができたり、環境破壊につながるものができてしまったことに対する批判です。
論理的に説明できない世界でも、ブリコラージュで作られたものを見ていけば、その構造から私たちが説明できなかった世界を見ることができます。
レヴィ=ストロースは未開の文明から法則を発見し、構造主義をとなえました。
構造主義を知ることで、さらにブリコラージュをみていきます。
ブリコラージュと構造主義との関係
ブリコラージュはレヴィ=ストロースの著書「野生の思考」で語られています。
レヴィ=ストロースは構造主義に代表される人物です。
構造主義とは、人間は社会の構造の中で、そこに染まって生きるという考え方です。
(哲学と宗教 全史 出口治明)
具体例で見てきます。

社会の構造が人間の意識をつくる。
完全に自由な人間なんていない。

例えば、校則で髪の毛は眉毛の上と決まったりすること?

そうだね。そこの社会の構造によって、規則が作られる。

規則や社会に属してる私は、規則を守ろうとしているよ。

その社会の構造が、自分の思考の前提になったりしてない?

規則違反している人を見ると、悪いんだーって思っちゃう。

その規則の中で、考えたり思ったりする人間は今も昔も変わらないよね。

そうだね、どんなに技術が発達していると思っても、私はその枠組みで考えてるにすぎないかも。
法則が変われば、そんな目で見なくなるよ。

その枠組みで考えている人に、優劣ってつけられる?

枠組みが異なるだけで、枠組みに従ってるだけだから優劣はつけられない。

世界はいろんな社会から成り立っている。
どの社会が下かなんて決められない。

そうなると、中にいる人間ってなんなんだろうね。

世界は人間なしに始まったし、人間なしに終わるだろう。

うーん、文明の優劣がないことを説いたら、人間の意味が気になってきたね。
構造主義では、物事を全体の仕組みで考えます。
レヴィ=ストロースの真意は、西洋文明に対する批判を行うことにありました。
科学技術が発展したからといって、未開の地にいる人を下に思ってしまうことに対する批判です。
レヴィ=ストロースは「人間は二つの思考様式を持っている」と考えました。
②野生の思考
科学的思考は、近代科学をもとに性質やつくりといった中身の違いを気にします。
野生の思考は、具体的で感性的であり、外見の違いを気にします。
野生の思考の意味は、無文学社会で存在する意識されない論理です。
野生の思考からブリコラージュはでてきます。
良い悪いという優劣を考えるのではなく、その場でできることをして切り抜けます。
ブリコラージュまとめ
ブリコラージュとは、時間と資源が限られた中、その場の興味で切り抜けることをいいます。
この言葉は構造主義を唱えたレヴィ=ストロースが「野生の思考」の中で語りました。
構造主義とは物事を全体の仕組みで考える立場です。
その全体の仕組みの中で近代科学的思考と野生の思考の二つがでてきました。
その対比した中の野生の思考の中にブリコラージュが見られます。
そこに優劣はありません。

ブリコラージュは限られた時間と資源の中での応用だよ!
回数を重ねることで、いろんなアイディアがでそうだね!
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