構想力とは。ASD特性とHSP特性から考える。

構想力とは雑談哲学

ASD(自閉症スペクトラム障害)。

ASDをネットで調べると、想像力がない、という懐疑的な言葉がでてきます。

人がどのように思っているのか読み取れない、人が次にどんな行動をとるのか予想が難しいなどの症状から、そう言われることがあるようです。

例えば、買い物をしていて他の人の通路の邪魔になってしまう、人が傷つく言葉を言ってしまうなどです。

しかし、本当に想像力がないのでしょうか

ASD特性を持つのではないかと言われているアインシュタインやカントを見るに、彼らに想像力が欠けているとは決して言うことができません。

では、なぜ想像力がないと言われているのか。

ここで、想像力から構想力を分けることによって、その謎を解明していきます。

まずはASDに関して説明していきます。

僕はなぞなぞ大好き。

なぞなぞは構想力だね。

ASD特性から想像力がないと言われる理由

ASD(自閉症スペクトラム障害)の人は人口の約1%といわれています。(「あなたがあなたであるために 参照」)

ASDの人とASDではない人(多数派)では、問題を解くときに使われる脳の場所が違うのだという研究結果が報告されています。

一般的にASDの人は、「ほかの人が考えていることを推し測る能力」で問題を抱えやすいと言われています。(「自閉症感覚」参照)

つまり、他の人の目を通して状況を考えたり、理解したりすることが苦手なのです。

そのため、ASD診断ではアンとサリーの課題を出すことがあるようです。

どっちの箱に入っているとサリーは思う?

サリーになりきると、こっち!

他人の心が読み取れるかどうかを測ります。

ASDの人の脳では、情報と感情を接続するケーブルが、十分に発達していないのではないかと考えられているのです

このような社会性に問題を抱える場合、他人の心が読み取れないので想像力がない、と言われているようです。

しかし、想像力とはなんでしょうか。

想像力とは

広辞苑から調べてみます。

想像とは、「実際に経験していないことを、こうではないかとおしはかること」。
「現前の知覚物ではない物事を心に浮かべること」とあります。

そして、その想像の項目で想像力が説明されています。

想像力とは、「カントでは、感性と悟性の性質を分有し、両者を媒介して認識を成立させる構想力」。
(後に詳しく見ていきます。)

この文から、想像力の中に構想力が含まれていることがわかります。
(私が今回説明するイメージです。)

構想力は想像力の中に含まれるのですが、構想力の特徴を際立たせて考えていきます。

想像力を考える際に、ASDの人は構想力で考える傾向にあると私は考えるからです。

そして、構想力が高い場合には、想像力が低いと言うことは出来ません。

では、構想力とは何かを見ていきます。

想像力を働かせてみる。

想像力を想像してみようか。

構想力とは

構想力はカントによって唱えられました。

構想力を説明する個所を引用します。

構想力(Einbildungskraft)とは、対象が現在して(現に存在して)いなくてもこの対象を直観において(即ち直観的に)表象する能力である。ところで我々の直観はすべて感性的直観であるから、構想力は感性に属する、その理由は、感性こそ悟性概念に、これに対応するような直観を与え得るための唯一の主観的条件だからである。しかしまた構想力による綜合は、自発性のはたらきである。ー
それだから構想力はその限りにおいて、感性をア・プリオリに規定する能力である。ー
これは感性に及ぼす悟性の作用であり、また我々に可能な直観の対象に対する悟性の最初の適応である

純粋理性批判 上」カント著 篠田英雄訳 p193

想像力の意味する「現前の知覚物ではない物事を心に浮かべること」と一致しますが、内容が悟性の最初の適応になります。

悟性は感性と共同して認識を行う人間の認識能力のひとつであり、概念把握の能力です。(詳しくはこちら

つまり、構想力とは現前していない対象を知的に想像し表象する能力と言えます。

クイズの答えを求めること!

そうそう、知的で考えを組み立てて答えを出しているね。

広辞苑では、「実現しようとする物事を考えの中で組み立てる能力」と構想力を表しています。

引用ではカントのいう構想力は感性に属するといいますが、ここでは考えさせられるとか、考えが降ってくるという感覚だと私は考えました。

愛はモノかもしれない!

哲学的なひらめきも言うよ。

なぜふってこなければいけないかと言えば、感性と結びつけるからです。

説明文では感性こそ主観的条件だと言っています。

しかし、自発性のはたらきがあり、ここが認識に作用します。

そして、ここで言う認識とは「物自体」を追い求めることを意味すると私は考えました。

ショーペンハウアーはプラトンのイデアカントの物自体という概念は似ていて、意味内用は一緒だと述べます。

簡単に言うと、「真理」を探究したり、普遍性を追い求めたりすることがカントの言う認識です。

哲学用語図鑑から引用します。

対象⇨五官⇨感性の形式⇨悟性のカテゴリー⇨現象
(ここでの現象は自分にとっての物自体)

この流れが認識する能力で、理論理性と呼ばれています。

この理論理性から「自分にとっての物自体」を認識していくことを構想力だと見なし、想像力の一部であると私は分けます。

理性的な正解を追い求めるんだね。

うん、感情をできるだけ省いた部分だね。

この分野で構想力をみると、ASD特性においては優れている傾向があります。

ASDは情報と感情を連結させにくい傾向があると言われているからです。

「真」に向かう場合、他人の心を読み取るのではなく知識で組み立てます。

では、想像力からこの理論理性を省いた部分も見ていきましょう。

他人の心を読み取る想像力とは何か。

ここは主に感受性力と捉えていきます。

感受性力とは

想像力は現前の知覚物ではない物事を心に浮かべることなので、知でない感情からの部分も見ていきます。

カントは真・善・美を対応させて、「真:純粋理性批判」「善:実践理性批判」「美:判断力批判」を本にしました。

先ほどの理論理性は真の部分になります。

真では「真理」や普遍性を追い求めますが、善と美ではそうでないものを追い求めます。

知でない部分、愛とか憎悪とか、嫉妬とか、一個人に向けられた感情からものごとを判断します

そして、真と対比させて、実践理性批判では道徳的な行いをしようとする理性を説いています。

こちらで扱いました

人間には従わなくてはいけない道徳法則があり、道徳法則は「良心の声」で私たちの理性に訴えてきます。

良心の声⇨実践理性

実践理性はの部分です。

そして、理論理性と実践理性が結びついた部分にもがあらわれます。

おそらく、美は悟性のカテゴリーを通さないまま実感している段階を示します。

対象⇨五官⇨感性の形式⇨美

美を感じます。

ここでは認識にまで至りません
(ただ認識のような、認識していない感覚が交じり合う部分もあると考えます。)

私は「真」を省いた能力に感受性力を見ました。

構成力⇨真、美
感受性力⇨善、美

(美は理論理性と実践理性を融合しようとしている)

人々がこれは善・美であると、直観的に感じるのです。

例えば、実践理性は人間にある「良心の声」が私たちの理性に訴えかけてくるといいます。

善の場合、カントでは「どんな時もうそをついてはいけない」がよく例題として取りだたされます。
カントは「自分だけでなく誰がやっても問題ないといえるかどうか。」が判定基準だと言います。(「悪を克服する哲学」参照)

あっ、助けなきゃ!

直観で浮かんでくるので、構成力と同じくこちらも感性的であり主観的条件に属します。

この「真」以外に向かう特性がある場合をHSPなのではないかと私は考えました。

HSPとは何かを説明していきます。

ちなみに、なぜ共感ではなく感受性としたかについても、少々触れておきます。

共感する構想力

同じくASDにおいて構想力が優れているのではないかと説いている本に「自閉症の哲学」があります。

筆者である相川翼はASDにおいては<システム化する構想力>が発達しており、<共感する構想力>が未発達な場合が多いと考えています。

私は共感について、他者の感じていることを自分の感覚として感じる感情的側面と、相手の立場から見えるであろう状況を推測して分析する認知的側面があるという考えを採用しています。(こちらを参照

感情的側面における部分が感受性力であり、認知的側面が構想力です。

なので、ASDでも後天的に構想力を鍛えることによって、認知的側面での共感力を得ることができると私は考えます。

おはようございます。

学んだことによって、あいさつの使い分けができるようになった。

ASDであっても共感が高いと思われる場合は、共感を学んだことによると私は捉えています。

HSPとは何か

ここではWikiペディアを参照にします。

HSPとは、非常に感受性が強く敏感な気質もった人を意味します。

「Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)」の頭文字をとって「HSP(エイチ・エス・ピー)」。

HSPは環境や性格などの後天的なものではなく、先天的な気質、生まれ持った性質
統計的には人口の5人に1人があてはまると言われています。

主に4つの性質の強さで説明されます。

①感覚データを深く処理する
②感覚的に刺激を受けやすい
③共感力が強く、感情移入しやすい
④ささいな刺激を察知する感受性が高い

HSPは芸術性が高く社会性があると言われますが、その反面周りのエネルギーに影響され、疲れやすく生きづらさを感じていることが多いと言われています。

臨床研究の心理学者エレイン・アロンにより1996年に説かれました。

なぜ先天的かというと、「真」以外のものはどのように感じるのか説明ができないからです。

つまり、「真」は知の部分を請け負うので、言葉にして説明しようとすると「真」からの理解になります。

あっ、おはようございます。

教えてないけど、とっさにあいさつを使い分けてる!
これは感受性力だね。
そして、この行動を分析している私は構想力を使っている。

認識しなくても感受性によってどのように行動すべきかが直観的にわかります。

そして、HSPは感受性の豊かさから他人の気持ちを推し測ることに優れていると捉えられています。

ちなみに、後天的にもHSPになることがあると言いますが、その場合は認識の仕方に関わってくると私は考えます。

つまり、考える構想力によって他人の気持ちを推し測ることができるようになるということです。

後天的な場合、認識という知の部分が伴ってきます。

この場合、他人の気持ちへの対応は「真」を考えて認識するということです。

では、HSPとASDの主だった違いを見ていきましょう。

HSPとASDによる主だった違い

ここまでの違いからまとめます。

ここではHSP特性とASD特性と表します。
想像力で言う構想力と感受性力は重なる部分があるのですが、ここではそれを極端になくして見るためです。

HSP特性
・感受性力に優れている。
・人の気持ちを感受しやすい。
ASD特性
・構想力に優れている。
・人の気持ちがわかりにくい。

HSP特性は物事を感受性によって受け取り、感情で判断します。
その時にとっさにどのように振舞ったらいいのか思慮なくわかります。
そして、個人の感情を読み取る傾向にあります。

またHSP特性は「真」を求めるわけではなく、その人の「善」だったり、「美」を求めていきます

ASD特性は物事を構想力によって組み立てます。
考えることによって、どのように振舞ったらいいのかがわかります。
「真」を追い求めて考える傾向にあります。

またASD特性は情報と感情を結び付けにくいので、感情が現れにくいだけで感情はあると私は考えています。

哲学の語源は知を愛することなので、知を追い求める情熱がそこに見て取れるからです。

同じ想像力なのですが、内容に違いがあることを見てきました。

情熱を持って勉強に取り組む!

その場合、情報は知識になるのかな。

次に、HSP傾向とASD傾向の具体例を述べていきます。

HSPとASDの違いを具体的に見る

まずは、人を見る場合を考えていきます。

特性から人を見る場合

ASD特性の場合、感情と情報の部分で接続が苦手なので、認知的側面によって人のことを考えます

この場合、人間一般を心理学や社会学、統計学などから把握します。

その人個人を直接みるのではなく、全体的な学問からその人を見るのです。

人相学だったり、心理学テストでパターン分けしたりしてその人を掴みます。

HSP特性の場合、感情的側面からその人のことを感じます

この場合、その人個人を直接に感じます。

個人の感情である愛や憎悪や憎しみ、嫉妬、喜怒哀楽によってその人を感じるのです。

感情の影響を受けやすいと言われるので、個人が笑ったら笑う、悲しんだら悲しむといったことが多いのかもしれません。

にこっ。

ここで微笑んだらHSP傾向、そうでないならASD傾向。
あっ、考えてたら無表情になっていた!

次にモノを見る場合を見ていきましょう。

特性からモノを見る場合

ここでは木々をみた私のツイートを載せます。

木々を見る。
私は初めてその木をみる。 枝分かれから木の幹、根っこまで、全体でみる。 客観的にみる。
あなたは擬人化させてみる。 木のストーリーを語り、寂しがっている様子をみる。 主観を重ねて何かが宿るようにみる。
こんな世界の違いが近くにあったことに驚く。 いつものように見ただけなのに。

前半はASD傾向の捉え方になります。
木そのものを先入観なく認識する傾向にあります。

後半はHSP傾向の捉え方になります。
木を擬人化させて感じる傾向にあります。
人間の感情やストーリーをモノに感じることがあるそうです。

あの木、おばけみたい。

木を擬人化だからHSP傾向かな。

天才性についても述べます。

ASD特性、HSP特性の天才性

私は天才性について述べました。

天才性とは個人の中に誰でもある自分の理解を超える部分です。

ASD特性は構成力からイデアとしての全体、自然物にあるイデアを客観的に捉えやすいと言えます。

HSP特性はショーペンハウアーのいう個別のイデアや、アリストテレスのいう形相と質料という個々そのもの自体を捉えやすいと言えます。

ただ自分の中の理解できない部分が天才性なので、ここではASD特性とHSP特性の傾向だけを述べました。

個人を知るにはその特性だけではないものが混じる場合があります。

ASD特性であっても、ある特定の事柄だけには感情が強く結びついているなどです。

ここでは常識を疑うことが自分を知ることになると私は考えています。

人それぞれによって異なる天才性があるからです。

僕はロゴが大好き。

好きなことに自分の天才性が隠れているかも。

構想力とASD,HSPのまとめ

想像力を構想力感受性力に私は分けて考えました。

その場合、ASD(自閉症スペクトラム障害)は、構想力が高い傾向にあり、「真」を追い求めます

そして、HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)は、感受性力が高い傾向にあり、感情によってものごとを感じます

先天性をもった傾向なのですが、後天的に補える可能性は示唆されています。

HSPという概念は比較的新しい(1996年)のですが、日本ではHSPが流行りだしている傾向があるそうです。

HSP診断テストなどもあるのですが、先天的、後天的なものが含まれるので、診断が難しくなります。

そんなときに、「真」を求める構想力、個人に向かう感受性力、このような違いを意識して見ると、診断がわかりやすくなるかもしれません。

真・善・美。
私は何を求めているんだろう。

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