観念論という言葉だけで、難しそう、というイメージを持ってしまいます。
しかし、観念論は子どもの絵本から簡単にイメージすることができました。
今、主流の哲学者マルクス・ガブリエルも観念論を振り返ることと、子どもに哲学を教えることが必要だと言っています。
では、観念論とは、をみていきましょう。
観念論とは
観念論とは、世界をかたちづくるものの根源は、物質ではなく精神的なものだと考えることです。(哲学用語図鑑 参照)
哲学者でいうと、プラトンや、カントに影響を受けたヘーゲル哲学に代表されます。
今回、参照にしたい絵本はこちら。
観念論をみていくには、カントのコペルニクス的転回を元にするとわかりやすくなります。
以前私は、カントの認識の仕方をブログで書きました。
現在の脳科学で解明される前に、ものごとの認識の仕方をコペルニクス的転回でカントは言い当てています。
>>カント「ア・プリオリ」からの認識を解説
表で示すとこちらです。

これは簡単に言えば、世界は私たちが頭の中でつくり上げたものだとする考え方です。
(カントはは認識の仕方を分けたので、観念論者に代表はされていません。哲学用語事典)
私は猫を見ていますが、私が認識した猫と対象である猫は一致していません。
私たちの認識システムが世界をそのように見せているのです。
では、絵本を見ていきましょう。
観念論とはー絵本からみていく
観念論とは、を見ていくために仕掛け絵本「動物の見ている世界」をみていきます。
その後に、また観念論を解説していきます。
動物の見ている世界
仕掛け絵本「動物の見ている世界」(ギヨーム・デュプラ著)はその名の通り、動物にはどのように世界が見えているのかを絵で表しています。

絵本では、目は生物にそなわる「カメラ」として、その目で捉えられているだろう世界を描いています。
ただ目(視覚)を見るだけではなく、嗅覚、味覚、嗅覚、触覚から推測してその動物がどのようにみているのかを推測しています。
例えば、ミミズは目がありません。
その場合は、光を感じ取っていることを仕掛けによって表現しています。
他にも、猫は暗闇でどのように世界をみているのか。

猫は弱い光を感じ取れるために、薄暗がりでも狩りができるようです。
さらに、みていきます。
昆虫は、もう一つの世界と呼ばれるほど、人間とはみえているものが違うようです。

ここでは、モザイクのように見える世界です。

ゲームのマインクラフトみたい!
この絵本では、筆者が想像する動物の見ている世界が描かれています。
観念論を絵本でみていく
絵本を見たあとに、ある謎が浮かびます。
本当に動物はこのように世界を見ているのか?
ここでは、人間と動物を分けて考えます。
その場合、私はその動物ではないので、本当にそう見えているのかはわかりません。
人間である私がその動物になったとして、そう見えるだろうという世界を描いています。
昆虫の世界はイメージとしてはモザイクの世界ですが、人間はそれを想像するしかありません。
人間の認識システムに従って、その世界を絵本では描いているからです。
私たちならそのように見るだろうという憶測をいれて、本の世界が登場しています。
この本の世界は、筆者が頭の中でつくり上げた世界を描いています。
(カントの認識システムは動物のことは想定していません。なので、筆者は人間が猫になったとして想像で、絵をかいていると私は推測します。)
この作り上げられた頭の中の世界が観念論であり、私たちが認識しなければ存在しない世界です。
認識者としての私を必要とします。
観念論を考えるときに、唯物論が出てきます。
唯物論にそった絵本の見方もみていきます。
唯物論を絵本でみていく。
唯物論とは、世界をかたちづくるものの根源は、精神的なものではなく物質だと考えることです。
世界は人間がどうとらえるか、などということとは無関係に存在するという立場です。
わかりやすいのが、デモクリトス(BC460頃)の原子論です。
彼は、万物は原子によってできていると考えました。
他にも、現代の一般的な科学者の見方によれば、世界は物質でできています。
例えば、私たちは幽霊の存在を科学的には実証していません。
なぜ実証できないのかというと、ある特定の人が幽霊が見えるといっても、それを実験によって証明できないからです。
認識者としての人間を通して現れた幽霊やこびとなどの存在を証明しません。
この考えを発達させていくと、唯物論では心や意識は脳の働きで説明できると考えます。
一般的な科学者は、存在するすべてのものは科学的に調べることができるという前提に立っているからです。
唯物論を見ていくと、ある謎が残ります。
この絵本は、科学的な根拠に基づいているのではないか?と。
絵本の解説では、唯物論の立場を取っています。
例えば、科学的にミツバチを調べていくと、緑や青の光を感じ取る細胞がありますが、赤を感じ取る細胞はないと解説します。
これは、解剖などによって明らかにされた目の構造です。
実証されたことを述べていく科学では、心に言及せずにあるものをあるものとして解説しています。
唯物論に基づいた実験結果によって、そこから、筆者は想像力を膨らませて観念論によって世界を描いています。
本の絵のイメージは、筆者の想像なので観念論です。
しかし、前提にしている基礎の部分では科学に基づく唯物論を参照にしています。
観念論とはーまとめ
観念論とは、世界をかたちづくるものの根源は、物質ではなく精神的なものだと考えることです。
よく、唯物論と比較されます。
唯物論とは、世界をかたちづくるものの根源は、精神的なものではなく物質だと考えることです。
「動物から見た世界」の絵本の挿絵は、観念論です。
人間からすれば、世界はどのようにイメージできるのかを絵で表しています。
私が絵を見たときに、その世界を想像します。
人間からみたその動物の世界は、人間が想像しなければ存在しません。
ただその前提には、一般的な科学である唯物論が参照にされています。
目の構造などを解剖の結果から述べて、この結果があるからこのように作用するだろうという予測を筆者は立てています。

子どもの知的好奇心を刺激する絵本だね!
科学的だし、哲学的。
コメント