
マルクス・ガブリエルの意味の場?聞いたことないな。
また哲学用語だね!
意味の場はマルクス・ガブリエルの思想のキー概念です。
意味の場をわかりやすく解説していきます。
まず、イメージとしてはこちらをご覧ください。
イメージはこのようになります。
さらに詳しく解説していきます。
マルクス・ガブリエルの意味の場を理解すると、人とのコミュニケーションによる関係悪化が起こりにくくなります。

それは役に立つ哲学だね!
マルクス・ガブリエルの意味の場とは
マルクス・ガブリエルの意味の場とは、物事が意味をもって現れる場所のことです。
あるいは、一人ひとりの人間の視点とも言えます。(哲学用語事典 小川仁志)
先ほどの例をみていきます。

こびとを見たよ!
この場合のこびとは、この子の中にこびととして意味をもって存在しています。

詳しく言って。

ちょっと怖くて、小さくて、どこにでもいて、図鑑にものっていて、あらゆるところに見えるの。

私はこびとを、可愛くて、小さくて、外にいて、目にみえないものだと考えてた。

私の捉えてたこびとと2人のこびとも違う!
物事はなんでも、その人の視点から捉えられるということです。
さらに、こびとを知らない人が初めてこびとを見た場合、妖怪と考えるかもしれません。

何か小さい生物を見た!
これは妖怪だ!
この場合のこびとは、彼にとっては妖怪になっていますが、その意味を持ってその場に存在しています。
なので、彼にとってはこびとは妖怪として意味の場に現れてきます。

こびとという語で表せるたったひとつのものなど存在しない。
もう少し詳しく見るために、マルクス・ガブリエルの新実在論をみていきます。
マルクス・ガブリエルの新実在論とは
マルクス・ガブリエルの新実在論は2011年に発表されました。
新実在論とは、物事は思った通りに存在していると考える立場です。

世界は存在しない。だが、こびとは存在する。
この立場で考えると、こびとは観察者の数だけ存在することになります。
ただ世界と対比させていますが、この場合の世界は「すべて」を意味しています。
人間はすべての存在を認識できず、外から「すべて」を見ることができないので、世界は存在しないという結論が導き出されました。

混乱してきた。
新実在論から導き出される意味の場にまた焦点をあてていきます。

私のこびと

私のこびとも

私の妖怪も
これらはすべてその人にとって存在しています。
人間が認識できるのは、自分が意識して認識の対象にした領域だけということです。
人間が認識できないものは、存在しないという立場です。

私のこびとはちょっと怖いんだよ。
このこびとの例で言うと、怖いと可愛いは反対に見えます。
しかし、こびとに関してわたしたちは語ることができます。

それぞれが意味を持っているのに、話って通じるの?
それぞれがこびとの意味を抽出している状況です。
それでも、こびとという会話ができているのはどうしてなのかを見ていきます。
マルクス・ガブリエルの意味の場によるコミュニケーション
マルクス・ガブリエルの意味の場において、コミュニケーションがどのようにされているのか見ていきます。

私のこびとはちょっと怖くて、小さくて、どこにでもいて、図鑑にものっていて、あらゆるところに見えるの。

私のこびとは可愛くて、小さくて、外にいて、目にみえないものだと考えてた。
この二人の場合だと、「こびと」という名称と「小さい」という意味においてこびとの意味が重なり合っています。
その共通している意味において、二人はこびとを語ることができます。

小さい妖怪がでた!

それは私にとってのこびとだ!
名称が違っていても、小さいという共通点からその小さいものについて語ることができます。
しかし、お互いが妖怪、こびとと言ってその意味の場を壊そうとすると、コミュニケーションがとれなくなります。

私にとってのこびとはまた別のものだと思っていた。
お互いが語れているのは、小さいという点においてのみです。
元から小さいものという意味があって、そこから各々がいろんな意味を抽出することで現れてきます。
話し合いによって、その抽出の重なりが発見されて会話が成立します。
マルクス・ガブリエル意味の場の具体例
マルクス・ガブリエルの意味の場を、日常の生活で役立ててみましょう。
例えば、スーパーに行ったとして店員さんに袋詰めをお願いしたとします。

生ものはこの袋にいれて。野菜はこっち。
辞書で言う生ものとは、加熱・塩蔵などの加工をしていない食品のことです。
しかし、おじいさんは野菜は別の袋にいれてくれと言っている点で、辞書そのものの意味を使っていません。
この場合、おじいさんの意味の場を推測して店員さんは袋入れすることになります。
他の例も見ていきます。

今の時代、個性だよね!
個性を辞書で調べると、他の人とちがった、その人特有の性質・性格のことです。

私が言っているのは、もっとポジティブな意味!
このように、辞書で調べた意味と、その本人が使っている意味が違っています。
「個性について」本がでていたり、討論をしたりするのは、各個人で意味が違うからです。
この場合、辞書の意味はこうだからといって、相手を納得させようとしても、その本人にとっては他の意味の「個性」を話されるので、コミュニケーションは取りづらくなります。

私は違う意味で話してたのにな。
このように、意味が違うからと自分の意味の場を押し付けると、相手の意味の場を壊すことになります。
時代によっても違ってくるという話はこちら。
>>「エピステーメー」とはなにか
各個人に意味の場があり、その個人の意味の場を推測することによって、コミュニケーションは円滑になります。
マルクス・ガブリエルの意味の場のまとめ
マルクス・ガブリエルの意味の場とは、物事が意味をもって現れる場所のことです。
あるいは、一人ひとりの人間の視点とも言えます。
マルクス・ガブリエルの意味の場を知っておくと、コミュニケーションに役立ちます。

辞書に立ち返ることも必要だけど、相手が何を意味しているのかよく聞くことも必要だね。
マルクス・ガブリエルのおすすめの本はこちら。
「私」は脳ではない 21世紀のための精神の哲学
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