ポストキャピタリズムとはーポールメイソンの脱資本主義

ポストキャピタリズム自己啓発

ポストキャピタリズムとは、ポールメイソンが説く資本主義以後の社会です。

脱資本主義から見えてくる社会を考慮することは、その社会に生きる私たちの生活に直接かかわってきます。

未来の世界?ドラえもんとか?

未来といえば、人工知能が発達したドラえもんの世界をイメージするかもしれません。
では、見ていきましょう。

ポストキャピタリズムとは

ポストキャピタリズムとは、経済ジャーナリストポールメイソン(1960~)が説いた概念です

キャピタリズムとは資本主義のことで、ポストは「以後」や「後」を意味します。
なので、ポストキャピタリズムは脱資本主義を意味します
ポストキャピタリズム」というポールメイソンの本も出版されています。

今回は「未来への大分岐」(2019)を参考に、ポストキャピタリズムを詳しくみていきます。

アメリカの批評家フレデリック・ジェイムソンによると

資本主義の終わりを想像するより世界の終わりを想像する方が簡単だ」とこの本に書かれています。

しかし、ポールメイソンは資本主義以後の未来を考えて、具体的に提唱しています。

ポストキャピタリズムが出てきた理由

ポストキャピタリズムが出てきた理由を考察していきます。

それにはまず、資本主義をみていきます。
資本主義は19世紀後半の産業革命により出てきた自由な経済体制のことです
資本主義社会ではすべてのものが商品になります。
ものから労働力、時間までそれらはすべてお金に換算され、お金を介して人々の間で交換されます。(漫画で学ぶ資本論 参照)

機械化を進めて、大量生産、大量消費を目指してきた資本主義経済は、2008年の金融危機以降、景気が回復しなくなってきました。

どうして景気が回復しなくなってきたかというと、情報技術の特質によるものでした。
情報技術がお金の価値を生み出さなくなることです
それにより、不良債権危機を乗り切れなくなります

「次の景気循環に向けて離陸するために必要な、情報技術という新しいテクノロジーを我々は手にしているのに、なぜ新しい景気循環が始まらないのだろうか。これは、200年あまり続いてきた産業資本主義が、ついに終焉を迎えているからではないのか。」

このような問いが、ポールメイソンのポストキャピタリズム論の出発点でした。
なぜ景気循環が始まらずに資本主義の終焉が説かれたのかを、次に考察していきます。

ポストキャピタリズムへの道

ポストキャピタリズムへの道がでてきた理由として、資本主義の「成熟」があります
具体例でみていきます。

鉛筆なくしちゃった。

探すの大変だから、買えばいいよ。

新しい車がいい!

この車はいい車だから、まだまだ乗れるんだよ。

そう言われると、それほど欲しいものってないかもしれない。

モノがあふれている潤沢(じゅんたく)な社会だね

このように、ありあまるほどのモノがあったり、買い換える需要がないためにモノがあまったりしてしまうことです。
高くても、安くてもモノが豊富にあります。
この資本主義の最終形で「成熟」した社会を、ポールメイソンは「潤沢な社会」と呼びます
では、この潤沢な社会では何が起こるのか。
ポールメイソンは4つの出来事がおこるといいます。

①限界費用ゼロ

②機械の高度な自動化による労働の変化

③正のネットワーク効果

④情報の民主化

では、一つづつみていきます。

限界費用ゼロ

限界費用とは、モノでも、サービスでも、一単位分を増やして生産するために追加的にかかる費用のことです。
それがどんどん減ってゼロに近づいていくと予想しています。
具体例でみていきます。

高校生

私は音楽が好き!今はネットを通してダウンロードできるよ。

ダウンロードだけなら、追加にかかる費用はゼロに近いね。

高校生

家も3Dプリンター技術を使えば、一棟60万円くらいなんだって!
私でも家が買えるのかな。

家のために稼がなきゃっていう問題はなくなりそうだね。

このように、「潤沢な社会」では、多くのモノやサービスが無料になっていく傾向があります。
そのとき起こるのが「価格の破壊」です。
モノやサービスの実用性や効用の増大は、資本主義の利潤の元をなくします。
そうなると、資本主義は資本を増やすことができなくなります。

今の日本経済では海外と比べて、昔とものの値段が変わらないと聞きました。
それを日本経済が発展していないと見るのか、情報や技術の発達により安くて質の良いものが作り続けられていると見るのか。
その違いで、経済が衰退しているのか、発達しているのか見方が変わります。

限界費用がゼロになってきていると見れば、限界費用ゼロ社会の到来が資本主義を終わらせて、ポストキャピタリズムへと移ります

機械の高度な自動化による労働の変化

機械の高度な自動化による労働の変化とは、私たちに必要なものは機械が行ってくれるということです。
そして、私たちは時間が余るので余暇を楽しみます。
具体例で見ていきます。

おじいさん

昔に比べて、家事もだいぶ楽になった。

うん、乾燥機を使えば洗濯物は干さなくてもいいし、食器は自分で洗わなくてもよくなった。

おじいさん

かわりに自由な時間ができた。
私はウィキペディアに投稿したり、ブログを書いたりするのが趣味。

執筆してるんだね!そういう仕事もあるけど、それは趣味なのかな。

おじいさん

この本来の職業の仕事と関係ないけれど、仕事のような趣味
これは報酬が伴わない仕事とも言えるね

そっか、仕事っていろんな形があるね。

ブログやウィキペディアの趣味は、単に報酬が伴わないというだけで、社会的で協働的な仕事です。
その結果、私的労働私的所有といった資本主義に必須な考えが失われます
国家や市場から人々の生活を切り離して、誰にも所有されない生産物が生産の主流になれば、資本主義は終わります

この誰にも所有されない生産物は、歴史上でも見られます。
例えば、アインシュタインの相対性理論。
アインシュタインは本業とは別に家で科学論文を書いていました。
他にも、まったく売れない絵を書いていたゴッホ。
ゴッホの絵は彼の死後に、もっとも高い絵の一つになりました。
哲学者ショーペンハウアーも、彼の死後の現代において、認められるようになってきました。
その活動をしている本人は、その時点では誰かに指示されているわけではなく、自発的に取り組んでいます。

歴史を振り返ってみても、誰にも所有されていなかった生産物が、その後の人類にとってもっとも有益なものになっています
この生産物が主流になれば、資本主義経済が崩れるのを想像するのは簡単です。

正のネットワーク効果

正のネットワーク効果とは、インターネット上での人々のつながりが、新しい実用性・効用を創出します。これらは「正の外部性」と言われます。
この正の外部性をイメージするために、「負の外部性」を考えます。
負の外部性の例の一つは公害です。
市場での取引以外に工場から汚水がもれてしまったり、有害なガスが発生してしまったりすることです。
企業が公害対策を行うようにするために、国家は法で規制したり課税したりします。
これと反対なのが、「正の外部性」です。
具体例で見ていきます。

私はツイッターで有益な情報を流している。
本来ならお金が発生する内容だよ。

それは嬉しい!従来ならお金がかかってたけど、私は無料でその恩恵にあずかってる。

そうだね!ネットワークのつながりで、新しいアイディアやサービスがどんどん増えているね。

それが正の外部性だね!
市場を経由しないで、恩恵にあずかれた

でも、その正の外部性って誰が所有するのかな?
所有するものによっては、搾取だ!ってなるね。

確かに!その成果を私的所有として企業が独占すると、それに抗議したくなる。

ネットワーク効果による正の外部性を、「私的所有」という考えから決めることは争いを生みます。
人は「誰にも所有されない生産物」に所有を求めたくないからです。
いわば、自分が主体的にやったのに、他人に価値を決められてしまうことです。
ここでも、資本主義社会の根幹である「私的所有」と相容れない考えがうまれます。

情報の民主化

情報の民主化とは、情報技術によって組織の階級や身分制度が弱まることです。
具体例で見ていきます。

ブログを更新したよ!

あっ、こんなところに変換ミスがあるよ!

教えてくれてありがとう。
ブログを書いた後は、ウィキペディアの書き込みもやろうかな。

私もやる!一緒にやると楽しいね。

このように、身分による差がなく、作成に自発的にかかわりたい人々をブログやウィキペディアというプラットフォームが手助けしています。
このような仕組みを民間企業がビジネスとして設けようとすると、大変なコストがかかります。
この仕組みにより、資本主義の原理からは出てこない無償の社会的協働が現れます
この仕組みが資本主義の生産力を上回ると、資本主義経済に大きな影響を与えます。

ポストキャピタリズムへの道まとめ

「情報技術の発展によって、利潤の源泉が枯渇し(①)、仕事と賃金は切り離され(②)、生産物と所有の結びつきも解消されるでしょう(③)。そして、生産過程もより民主的なものになっていきます(④)。」(本から抜粋

この結果、人々は義務的な仕事から解放され、必用なものを主体的に生産する社会になります

ポストキャピタリズムのまとめ

ポストキャピタリズムとは、経済ジャーナリストポールメイソン(1960~)が説いた概念で、脱資本主義を意味します

ポストキャピタリズムが出てきた理由は、資本主義経済において景気が回復しなくなってきたからです。
不良債権危機を乗り切れなくなってきました
モノの価値がゼロになってきたからです。

そして、どのような道によってポストキャピタリズムに移行するのか4つの原因を探りました。
これらは情報に慣れ親しんでいる私たちが普段していることです。

ポールメイソンは、人間が強制労働そのものから解放される「可能性の世紀」に私たちはいると言います。

新しい価値観の変化は「21世紀の啓蒙」でも取り扱いました。
私たちは時代の変化とともに、どのように変わっていくのでしょうか。
この社会に移るのを阻む要因を考えるのもいいですね。
もっと知りたい方はこちら。

ポストキャピタリズム 資本主義以後の世界 [ ポール・メイソン ]

私は自分の価値観が変わっていくのを実感していたいな。

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