ルソー「社会契約論」の成り立ちと「啓蒙主義」

ルソー「社会契約論」「啓蒙主義」哲学

ルソーの「社会契約論」の成り立ちをみていきます。
この成り立ちは、今の民主主義制度と深い関係があります。

ホッブズの「社会契約説」とは違う国民の自然状態を論じています。
ホッブズや自然状態が気になった方は
>>ホッブズ「社会契約説」はこちら

ホッブズ、ルソーは啓蒙主義者とも呼ばれています。
全米でベストセラーになった「21世紀の啓蒙 スティーブン・ピンカー 2019」も、啓蒙という概念を知れば読みやすくなります。

あっ、本屋で見かけたけど啓蒙って難しそうと思ってたやつだ。

最近では、自己啓発という言葉は聞きますが、啓蒙はあまり聞かれなくなった言葉です。
その理由も解説しています。

では、ルソーが考えた社会契約論を見ていきます。
(ちなみに、社会契約はホッブズ、ロック、ルソーをはじめとする、彼らの社会に関する考え方です。ここで論と言っているのは、ルソーの著書に「社会契約」があるからです。)
(参考文献は本文下に記載)

ルソー「社会契約論」の成り立ち

ルソー社会契約論」の成り立ちをみていきます。
社会契約とは、外的権力として国家を設定するための方法です。
今までの法は王様が絶対でした。
ルソーは今までの法は強者を守るためにすぎずに、不平等を土台にしていると考えたのです。

ルソー
ルソー

絶対王政反対!

現代の日本の政治を見てみれば、国民が権利を持っていることは当たり前に感じるかもしれません。
しかし、社会と個人の考え方を初めに説いたのはホッブズでした。
そして、ホッブズからルソーへとつながっていきます。

17世紀までは、神様と政治がくっついていたんだね。

ホッブズの社会契約説との違いから、ルソーがどのように考えたのかを見ていきます。

ルソー「自然状態」とは

自然状態」とは、権威が存在しない状態を言います
ホッブズの「自然状態」では、人は人にたいして狼だといいました。
ルソーの「自然状態」では、人は平和であり、たがいに自由・平等で、信頼で結ばれた理想状態だといいました

一見、反対のことをいっているように感じます。
しかし、ホッブズもルソーも、人間の自然権は同じだと考えます。
自然権とは快楽を求め、苦痛を避け、自己の生命活動を維持する権利です。

ルソーによれば、産業が発展し、人々が財産を持つことで支配と服従の関係がうまれます。
そのために不平等が社会に広がったと考えました。
例えば、このような感情が芽生えます。

あっ、チョコ食べてる!いいなぁ。

高校生

最新のスマホだ!私もかえたいな。

もっと出世して、みんなに認められたい!

ルソーによれば、このような妬みや虚栄心は人間が定住生活をしたときから生じたと言います。
家族を中心とした定住生活では、家族がまず私有財産を生みます。

お姉ちゃんだけずるい!!

高校生

これは私のチョコ。

そして、家族から社会集団が成立し、自尊心が育つとともに虚栄心や妬みの感情も発生します。

人は尊敬を目標に、自分をよく見せようとします。
このような感情から、貧富の差、強者と弱者の差ができ、奴隷制度も出来上がったとルソーはいいます。

ルソーは人と人同士の争いは、こうした定住生活や所有権が発生する前の状態では起こらないとしました。
なので、このように主張します。

ルソー
ルソー

自然に帰れ!

自然状態の人間は、生きることと憐れみの感情で生きています。
家族もなく、ばらばらに生きています。
ルソーは所得差が大きくなった当時の不平等な社会を批判しました。

ルソーはこの平和な自然状態を考慮しつつ、これを参考に社会契約を結べばいいと考えました。
昔を理想とはしていても、今の所有を持った状態から社会を考えています。

ルソー
ルソー

人は生まれ落ちるや自由である。しかし、いたるところで鎖につながれている。

では、どのような国家のあり方を理想としたのでしょうか。
ルソーは「一般意思」を考えました。

ルソー「一般意思」とは

ルソーの「一般意思」とは、社会の基礎をつくる共通の利益のことです。
本来みんなが共通に持っている助け合いの心ともいいます。(哲学用語図鑑 哲学用語事典)

チョコはみんなで食べる!

このように、自然権をお互いに譲り合います。
契約によって、全員の意思を確認してその意思に服従することで社会がつくられると考えました。
自分で自分の規則をつくってそれに従うので、個人の自由は尊重されると考えます。

私えらい!

ただ、一般意思とは「全体意思」とは違うということに注意が必要です。

みんなで議論して、共通の利益をうみだす一般意思は一般的な性質を帯びます。
次の例は、全体意思です。

高校生
Aさん

みんなにスマホを配ればいいんじゃない?
私も欲しいし。

高校生
Bさん

それいいね!

高校生
Cさん

私も!

このような個人の特殊意思を足し合わせたものを全体意思といい、いくら合わせても一般意思にはなりません

一般意思ではお互いに対立して否定しあう論も検討しなければいけません。
スマホを買う予算や、スマホが必要ないという人の意見も参考にします。
つまり、十分な議論が必要です。

ルソーは一般意思を法にするためには、直接民主制を理想としました。
次に直接民主制からなる社会契約論を見ていきます。

ルソー「社会契約論」とは

ルソーの「社会契約論」は国家の主権は人民に属し、政府や統治者は公僕である。そして、一般意思にしたがうかぎり、主権者としての人民は国家によってその権利を保障される。(新 倫理)

さっきの内容をたどってみれば、難解な文章もなんとなくわかる!

みんなの利益になり、助け合いを必要とする一般意思から直接民主制が生じるので、国家の主権は人民のものになります。
全員が議論して、全員で国家を統治する直接民主制を理想としました。
直接民主制では、みんなでよく話し合って、共通の利益となるような一般意思に従うことで、自由と権利を国家にゆだねます。

ルソー
ルソー

力で支配されるのではなく、助け合う一般意思を通じてみんなで決めたことに従うことが、人間の自由そのものだ

従うって、自由ではないイメージだけど、自分に従うから自由なんだね。

このルソーの思想は啓蒙主義にもつながります。
18世紀は「啓蒙の世紀」と呼ばれているそうです。

ルソー「社会契約論」から「啓蒙主義」をみていく

ルソー社会契約論」をみてきました。
そこから、「啓蒙主義」を見ていきます。

啓蒙主義とは

啓蒙主義とは、社会契約論の普及に努め、市民革命を推し進めることです。(哲学用語図鑑)
啓蒙主義者たちは、国家や社会のあり方をもっと論理的に捉え、合理的なものにしました。

非合理的だと思われている点としては、神様が王だと考えられていたり、王様の言うことは絶対だと考えて従う点です。

おじいさん

みんなで自由と平等を勝ち取ろう!

啓蒙の意味は、無知の人を啓発して正しい知識に導くことです。
「蒙」には、愚かで無知なこと、物知らずで道理がわからないという意味があります。

「蒙」に上から目線な意味があるから、啓蒙って言葉を聞かなくなってきたんだね。

では、どうして「啓蒙主義」というかというと、啓蒙主義者の多くは「神」を信じませんでした。
しかし、当時の人々にとっては国を統治するものが「神」でした。
神を絶対だと信じています。

このように信じている人に、理性で考えさせたからです。
このような啓蒙主義の考えは、科学革命をもたらします。

雨が降らないのは神様が怒っているせいだ!

おじいさん

水蒸気によって雲ができて、そこから雨がふる。

原理を知れば、神様もそこまで怖くないような気がする。

このような科学の知識は、集団的妄想を打ち消しやすくなります。

ただルソーは啓蒙主義の合理的な面だけをみるのではなく、人の一般意思を重くみたので、ロマン主義者でもあります。

ルソーはロマン主義でもある

ロマン主義…人間精神の内奥の力を尊重。
個性や自我の自由な表現、情緒や想像力、形式よりも内容を重んじた。
 

ロマン主義といえば、昔はよかったというイメージです。
啓蒙主義は、当時で言えば絶対王政を破るような革新的な考えなので、昔に戻るイメージはありません。
けれど、ルソーの言う昔とは、身分の格差が生まれる前のことです。

ルソー
ルソー

文明が進めば進むほど、社会の不平等は大きくなる。

ルソーの主張では、みんなの意思を尊重することを理想としたので、国家の規模としては小さなものを想定していました。
国家が大きくなってしまうと、みんなの意見を聞くことが難しくなるからです。

ルソー「社会契約論」の成り立ちと「啓蒙主義」のまとめ

ルソー社会契約論」の成り立ちでは、絶対王政に反対して個人の自由と平等を重要視しました。
この考えは「啓蒙主義」の元になっています

ルソーは社会契約論で一般意思と、それによる直接民主制を説いています。
その元になる思想としては、人間が所有する前の自然状態を理想としています。

ルソーは啓蒙主義者であり、王政よりもっと昔に帰ろうとするロマン主義者でもあります。

啓蒙って覚えた!
これで、ベストセラーに挑戦しようかな。

参考文献「21世紀の啓蒙 上 スティーブン・ピンカー 2019」「新 倫理 清水書院 h9」
「哲学用語事典 小川仁志」「哲学用語図鑑 田中正人」「哲学の教科書 小須田健2003」

コメント

タイトルとURLをコピーしました