科学とはー哲学から科学哲学を具体例を通して考える。

科学哲学哲学

哲学から科学とは何かを考えていきます。
科学を哲学的に考察する分野を、科学哲学といいます
私たちは日ごろから科学という言葉に慣れ親しんでいます。

けれど、これは科学なの?
と疑問に思うことは多々あります。
この知識を身に付ければ、あいまいだった科学が明確になってきます。
続 哲学用語図鑑 参照)

科学とはー哲学からの視点

科学とは、広い意味ではほぼすべての学問のことを指します
例えば、自然科学や人文科学、社会科学のことです。
この場合だと、心理学や哲学も科学に入ります。

最も狭い意味では、一般的に自然科学のことを指します
自然に見いだされる普遍的な法則性を探究する学問のことです。

ここで、疑問が出てきます。

広い意味と狭い意味が出てくるなら、何をもって科学と言えばいいのか。
科学哲学は、科学と非科学の線引きを考えるために生まれました
具体例を出します。

高校生
疑問①

特定の人にしか見えないオーラとか、おばけとかって非科学的!

実は原子や電子って小さすぎて誰も見たことがないんだって。
オーラとおばけとどうやって見分けているのかな。

高校生
疑問②

天動説やニュートン力学は間違っていたから科学じゃないよね。

でも、今の理論も後から間違いだって指摘されることあるよね。

高校生
疑問③

心理学や哲学って科学じゃないような気もする。

それをどう説明すればいいのかな。

これらの謎に答えたのが科学哲学です。
科学哲学は論理実証主義から始まったと言われています。
次に論理実証主義を見ていきましょう。

科学哲学の始まり「論理実証主義」

論理実証主義は、1920年代にウィーン学団による運動から唱えられました

その運動がでてきた経緯は、カール・マルクスが経済学で説いた資本論や、心理学の祖であるフロイトが説いた精神分析などが科学だと語られていたからです。

つまり、根拠が不確かだと思われる論理が科学になっていました

これを受けて、科学と非科学の線引きをつくりました。
このような線引きです。

科学的=実験や経験などによって検証できる命題

非科学的=検証できない命題

これによって、社会科学や人文科学や、伝統的な哲学の命題は検証できない命題として非科学的とされました。
検証とは、実際に調べて仮説が正しいのか実証することです。

自然科学や数学、分析哲学の命題などが科学的とされました。

具体的にみていきます。

高校生
疑問①

オーラとかおばけは実証できないから、非科学的!

そうだね。でも、そうなると原子や電子も?

高校生
疑問②

天動説やニュートン力学は検証で間違っていたから、非科学的!

そうなるね。でも、相対性理論って検証可能なのかな?

高校生
疑問③

心理学や伝統的な哲学は非科学的ってなるね。

分析哲学は科学とされているよね。分ければいいのかな。

一見、科学と非科学の線引きができたように思われます。

しかし、実証による科学的事実は新事実が発見されることによって、更新されてきました

もしかしたら、おばけやオーラを実証する何かが発見されるかもしれない。
もしかしたら、天動説やニュートン力学のように、科学的事実が事実でなくなる可能性があるかもしれない。
さらには、分析哲学における真理が、新発見によって変更されるかもしれない。

論理実証主義の欠点を補うために出てきたのが、反証可能性です。
では、反証可能性をみていきましょう。

科学と非科学の区別の仕方「反証可能性」

科学と非科学の区別をカール・ポパー(1902~1994)は反証可能性によって説明しました。
反証可能性とは、嘘であることが証明される可能性を言います。(哲学用語事典
ポパーによると、論理というものは嘘であることを証明できるときにのみ、科学的だと言うのです。

論理実証主義による検証可能かどうかの区別の仕方だと、科学に属する理論はなくなってしまいます

例えば、白鳥は白いというのは正しいとされてきました。
けれど、1600年代に黒い白鳥が発見されました。
黒い白鳥の発見により、この説が嘘だとされたのです。

そして、黒い白鳥もいるという説が新しい理論になりました。
すると、もしかしたら未来には赤い白鳥が現れる可能性も見えてきます。

論理実証主義によって科学だとされる定義では、未来に渡ってくつがえされる可能性がある理論ばかりでした。

なので、ポパーは科学の定義をこのように決めました。

科学的=今のところは反証されていない、反証できる理論

非科学的=反証できない理論

このように定義をすると、自然科学は科学的です。
もし未来に渡って相対性理論が反証されたとしても、反証できるからこそ科学的であると言えます。

そして、例えば社会科学は非科学的になります。
社会科学には心理学が含まれる場合があります。
心理学では実験を検証する実験も行われたことがあります。

心理学の実験を追試した結果、再現に成功した実験が全体の4割ほどしかなかったという実験報告があった。

人間を対象にした実験は、個体差が大きくなり再現性が低くなりうる。

この結果では、検証するものの前提があやふやになっています。
前提があやふやなものに対しては、反証ができません。

かつてのSTAP細胞も、実験の再現ができませんでした。
嘘であることを証明する方法がない理論は科学ではないのです。

反証できない理論の例として、社会科学、無意識、血液型占、オーラ、霊能力などが図鑑であげられていました。
反証可能か否かを具体的にみていきます。

高校生
 

オーラとかおばけや、心理学などは反証できないから非科学的になる!反証されたものも非科学的!

そうだね。でも、他の問題もあった。

高校生
残る問題

原子とか電子、それに哲学を分ければいいのかって問題が残ってた!

ここで一度、科学哲学を区切ります。
ここまでの話で、科学を定義します。

もっとも狭い意味では、自然科学のことを科学と呼ぶ
自然科学でなくても、反証できる理論は科学的と呼ぶ

反証可能性では、狭義の意味での科学について述べることができました。
残るは、広い意味でのすべての学問についての科学です。

どのような経緯から、すべての学問が科学と言われているのでしょうか。
これを見ていくために、新科学哲学を見ていきます。

新科学哲学とは

新科学哲学とは、科学を相対的なもの、観察できないものは実在しないと捉える立場です。
ある時代や分野において支配的な物の見方や捉え方によって、科学の定義は変化すると言う分野です。

時代によって変わるというと、エピステーメー(知の枠組み)を思い出しますね。
>>エピステーメーとはー哲学用語を知ろう。

この立場に立つと、広い意味ですべての学問を科学と呼ぶことができます
人文科学や社会科学が科学と呼ばれている理由説明にも使えます。

では、残る謎になっていた目に見えない存在、原子や電子について見ていきましょう。

目に見えないもの(理論的対象)を考える立場

原子や電子など観察できないものは、科学者たちが便宜上あると考える対象です。
目に見えるわけではありません。
実験と観測から、推測してあると考える対象を理論的対象といいます
原子や電子、素粒子などがこれにあたります。

推測に対しては、反証というよりは、支持するかしないかになります。
理論的対象を実在すると考える立場を科学的実在論、理論的対象は便宜的な装置にすぎないと考える立場を反実在論といいます。

新科学哲学はこの反実在論の立場をとります
すると、学問の捉え方によってすべての学問は科学になります
(学問の有用性を論じているのは、ネオプラグマティズムです。)

各時代によって、目に見えないもの(理論的対象)をあるとしたりないとしたり、時代によって相対化してつじつまを合わせます。
こうして科学と非科学の線引きができないとすると、すべての学問が科学的とも言うことができます

次に分析哲学など、哲学を分ければ科学になるのかという点も見ていきます。

自然主義(哲学に科学を導入)と自然主義への批判


論理実証主義者は、真理には2つあると考えました。

①分析的真理(理性の真理)

②総合的真理(事実の心理)

この①である分析的真理は、分析哲学が扱う問題です。
実験や経験によって変わることはないとされてきました。

変更されないので、論理実証主義では分析哲学は科学的だとされてきたのです。

ところが、科学の進歩により新しい法則が発見されたときに、この分析的真理を変更してしまうことがありました。
例えば、量子力学の光の実験です。

つまり、実験によって分析的真理が変更されるとなると、すべての真理は総合的真理ということになります

②の総合的真理は、実験や経験によって確かめなくてはいけない真理です。
地球は丸いとか、太陽は東から登るとか、科学が発見した真理がこちらになります。

これらの論理実証主義への批判はアメリカの哲学者クワイン(1908~2000)によって唱えられました
そして、総合的真理しかないとするならば哲学に科学を導入すべきだと考えました。
このような考えを自然主義といいます。

自然主義は、分析的真理が成り立たなくなってしまうのならば、哲学に科学を取り入れようという考え方です。
分析哲学の成り立ちでは、ウィトゲンシュタインの思想を元にしています。
ウィトゲンシュタインの「言語にできないことに対しては沈黙しなければならない」は有名です。
分析哲学の役割において、客観的事実を追い求めようとしているからです

自然主義によれば、存在するすべてのものは自然科学的に調べることができるという前提にたっています。
哲学で扱っていた人間の認識活動を、自然現象として考える見方です
さらに、この自然主義への批判は、マルクス・ガブリエル『「私」は脳ではない』(2019)で取り上げられています。

自然主義は論理実証主義を批判していますが、自然科学で人間を研究する立場です。
新科学哲学の立場ではなくても、論理実証主義は批判されています。
論理実証主義を批判しているので、新科学哲学でも議論に使われます

高校生
 

目に見えないものをあるとしたり、ないと考えたりする。
学問の見方によって科学的だとすることに疑問。

そう!これらの問題から科学を考えたのを新科学哲学って言うんだね。

高校生
 

この分野もまだまだ議論されていくんだね。

科学とはーまとめ

科学とは、広い意味ではほぼすべての学問のことを指します。
最も狭い意味では、一般的に自然科学のことを指します。
科学哲学は、科学と非科学の線引きを考えるために生まれました

科学哲学の始まりは、論理実証主義だと言われています。
論理実証主義では、科学的とは実験や経験などによって検証できる命題のことを言います

この批判をしたのが、反証可能性を説いたポパーです。
反証可能性とは、嘘であることが証明される可能性です。
反証できる理論を科学としました

そして、これを批判した一つが新科学哲学です。
科学を相対的なもの、観察できない対象を実在しないものだと捉える立場です。

科学について、たくさん議論することがあるんだね!

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