ジョン・ロック「タブラ・ラサ」の意味を解説

ジョン・ロック「タブラ・ラサ」哲学

ジョン・ロックの「タブラ・ラサ」を聞いたことがありますか?

ロックはお医者さんで、たくさんの赤ちゃんを見てきました。
そんな彼はこう言います。

ロック
ロック

人間の心は生まれたときは白紙だ!

ジョン・ロックはなぜこのように言ったのでしょうか。

ジョン・ロック「タブラ・ラサ」の意味

「タブラ・ラサ」とは、ラテン語で「何も書かれていない書板」の意味です。
その言葉をロックは「白紙の心」として使いました

ロックは、生まれたときの人の心は何もかいてない白紙(タブラ・ラサ)だと考えました。そして、経験したことがこの紙に書き込まれて、知識や観念になると主張しました。(哲学用語図鑑 田中正人 2015)


ロックはデカルトを支持していましたが、デカルトの「人間は生まれつき生得観念を持っている」ということは批判しました。

生得観念?と思った方はこちら
>>デカルト「我思う、ゆえに我あり」はどう否定する?


ロック
ロック

生得観念があるなら、子供だって数がわかっているはずだ。
生まれたばかりの赤ちゃんは数を知らないじゃないか。

はい!私、100まで数えられるようになったよ。
先生に教えてもらったの。

このように、経験によって知識が書き込まれていくのだとロックは考えました。

この知識を得ることに対して、ロックが考えたことを見ていきます。

ちなみに、知識や観念はすべて五感(聴覚、視覚、触覚、味覚、嗅覚)を通じて得た経験によるものだという考え方を、イギリス経験論といいます。
経験を通して知識になるとはどのようなことかを見ていきます。

経験すればわかるって言うけど、それを見ていくんだね。

ジョン・ロック「タブラ・ラサ」の観念

ロック
ロック

人に生まれつきの知識はなく、すべて経験によるものだ。

ここで気になるのは、ロックが経験をどう考えたかです。

「ロックは意識と身体は一体のものであり、まずは身体が物事を知覚することで、その情報が意識に伝わり、そこで内省と呼ばれる作用が生じるとした」(哲学用語事典 小川仁志 2019)

ロックは経験を「感覚」と「内省」という段階に分けました。

つまり、手でさわったり、食べたりしてからそれを知る、という2段階にわけたんだね!

さっき初めてチョコ食べた!

それまで、ママにお薬だって言われてたの。

そ、そう。じゃあチョコを例にとってみようか。

ここでは、食べる前の状態をチョコとはみていないということになります。
子どもはチョコを経験することで初めてチョコを知識として認識しました。
その段階を詳しく見ていきます。

単純観念


単純観念は五感から得る印象です。

チョコは、甘くて、茶色で、ベトベトしてて、いい匂いだった!

なにもしゃべらなかったけど。

甘い(味覚)、茶色(視覚)、ベトベト(触覚)、いい匂い(嗅覚)、無音(聴覚)、これら一つ一つが単純観念です。

複合観念


複合観念とは、単純観念の経験が組み合わさってできた知識です。

もぐもぐ。これはチョコだ!

ママ嘘ついてたな!


甘い、茶色、いい匂い、などの五感を頭のなかで組み合わせて、これがチョコだとわかります。
これらを組み合わせることを内省といいます。

ロックの知識と生得観念の比較

ロックは知識を単純観念と複合観念が合わさったものとしました。

生得観念と比較してみます。

例えば、現代は情報化社会と言われています。
そこで、情報を得た後に内省することで知識になるとよく言われます。

高校生
 

天才について考察したときも、それに詳しくなって初めて天才ってわかるって話してたね!

情報を内省しなければ、知識とは言えずに鵜呑みの状態と言えます。
現代の実用書でも、そのような内容はよく見られています。
このように考えれば、一見、正しく思われます。

しかし、内省したり、それに詳しくなったりすると、やはりイデアのような「理想」と思われるものを想定しているような気もします。
天才とわかったり、芸術性の高い絵とわかったり、キレイだと感じたりといった理想の想定です。
それが間違いだったとしても、何かしらの「理想」を想定している気がします。

ロックは知識を二段階に分けたことはわかったよ。でもそうなると、生得観念で得ていたものってどうなるのかな?

ジョン・ロック「タブラ・ラサ」からみる物の性質

ロックの考え方をすると、デカルトが生得観念で考えていたものはどこにいったのか疑問になります。
例えば、デカルトは1や3といって数字を理解できることを生得観念といいました。
数字の他にも、赤ちゃんが泣いているのは何かを訴えている為だったり、理想とするものが何かを私たちは知っているような気がします。

理想が気になった方はこちら

>>プラトンのイデア論をわかりやすく解説


さらにロックのものの見方を見ていき、生得観念との対比を見ていきます。
ロックはものの性質を2つに分けて考えました。

一次性質と二次性質です。

一次性質


ロックはものの一次性質を物体の客観的な性質としました。
(哲学用語図鑑参照)

物体の客観的な性質?

人の五感に関係なく、そのものに備わっている性質です。
つまり、人間が存在しなくても成立します。

例えば、大きさ、形、個数、重さなどです。

🍫!私がさわったり、食べたりする前にも、チョコ自体はあったよ。

二次性質

ロックはものの二次性質を物体の主観的な性質としました。

物体の主観的な性質?

人の五感によって捉えられる性質のことです。
つまり、人間が存在しないと成立しません。

チョコを食べたときに初めて甘くっておいしいってわかったよ。

一次性質と物体

この一次性質は、デカルトの心身二元論の物体と同じような概念です。

デカルトは精神と物体とを分けて、精神によってものごとを理解します。
一方、ロックはものを一次性質と二次性質にわけて二次性質から理解しました。

精神によって物事を認知するのか、経験によって認知するのか。
物体は一緒の捉え方でも、認知の仕方が違っているんだね。

この一次性質と二次性質はバークリーやヒュームによって批判されたり、発展されたりしています。
一次性質と二次性質には、「理想」や「完全な観念」という考え方はされていません。
経験論を支持しても、この点をどうみていくのかを議論していく必要がでてきます。

ジョン・ロック「タブラ・ラサ」のまとめ

ジョン・ロック「タブラ・ラサ」を見ていきました。
「タブラ・ラサ」とは白紙の心で、経験によって書き込まれていきます。
そして、生得観念を否定しています。
単純観念から内省して複合観念という知識を得ていくと言います。

ロック
ロック

人間は観念をだんだんとそなえていく。

 

チョコを経験して、私は一歩賢くなったってことだね!



ちなみに、哲学者カントは合理論と経験論を統合したことで有名です。
この二つの論を統合させて、疑問点を解消させました。

近代哲学はカントを主流にしているので、この二つの論があったと覚えておくことは、近代哲学を理解する上で役立ちます。

>>カントの認識論はこちら

哲学には流れがあるんだね!

何人もの天才の考えが混ぜ合わさっていると言えるね。

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